『緑の日』同人らは知己の仲ではありませんでした。プロの作り手ではないひとたちが、何故かそれでも何かを作りたいのだ、と逡巡する割り切れなさに身を置こうとして集まったのが始まりだからです。

私たちの共通項は同年代であることしかありません。昭和六十一・六十二年を誕生の年号にもつ私たちは、ですから、かつて「みどりの日」と呼ばれ現在は「昭和の日」と呼ばれる四月二十九日を誌名に冠することにしたのでした。

 

発刊からこれまで大切にしていることが三つあります。

まず、金銭を介したやりとりに立って雑誌を作ること。
アマチュアとはいえど、対価を払っても読みたいと思わせる、質のよい誌面作りを志向しました。

次に、ジャンルの垣根をこえて作品を掲載すること。
そのジャンルは単に文学のなかに留まるものではありません。小説、詩、評論、漫画、イラストレーション、写真など、雑多な誌面をめざします。それらが紙に印字される限り。ぱらぱらと頁をめくってどこからでも読める本を。だから「文芸」雑誌を名乗っています。

最後に、『緑の日』は毎号テーマを設けます。
テーマは同人らの時々の関心によって決められ、何回かの話し合いを経て共有されます。現在は、ひとりだけでも簡単に雑誌を作る方法が多くあります。しかし、私たちは複数のメンバーたちと雑誌を作ります。ひとりの力だけでは世界は広がりづらいと考えるからです。個人の問題意識を皆で共有し、テーマを設け、作品に昇華することで、ひとりでは作り得なかった雑誌が出来るはずでしょう。そして同時に、作品はその作者でしか有り得ない色をも持つはずです。

現在、委託販売は考えておりません。文学フリマへの出店をベースにしています。

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